インプラントを検証してみる

この蛋白質の質を低下させずにどうやって粉砕するかが大問題で、その研究がたいへんだった。 軟骨の85パーセントは水分であり、その水分のからまり方が問題となる。
そのため、軟骨を乾燥させるのはむずかしいと同時に、費用のかかるものだった。 熱は蛋白質を劣化させるので、使うにしても用心深く使わねばならない。

鮫の軟骨中の血管造成抑制物質としての蛋白質のうち、少なくとも1種類の蛋白質は軟骨の精製過程の熱で劣化する。 軟骨そのものやそのなかの蛋白質も、ある時間にわたってアセトンとか強い酸の溶剤にきらせばともに品質が低下してしまう。
幸いなことに、鮫の軟骨には脂肪はほとんどないといっていいので、精製に溶剤を使う必要はない。 仔牛の軟骨にはかなりの脂肪が含まれていて、溶剤でそれを溶かし出す必要がある。
脂肪が残っていると製剤が酸化するからだ。 しかし、この溶剤は、仔牛の軟骨にただでさえそれほど多くは含まれていない血管造成抑制物質の品質を低下させてしまう。
粉砕の技術の巧拙で決まる粉末の粒子の大きさも、また別に考慮しなければならない。 体内の蛋白質消化酵素による影響を受けさせないためにも、鮫の軟骨は体にできるだけ早く吸収されねばならない。
もし消化酵素によって消化されれば、蛋白質はアミノ酸に分解されて血管造成抑制物質としての蛋白質とは別のものになってしまう。 それゆえ、鮫の軟骨の粉末は、早く体に吸収されるような小さな粒子のものにしなくてはならない。
われわれの経験では、200メッシュ(ふるい目の単位、一平方インチにふるい目が200あり、その目の開きは74マイクロメートル)の網目を少なくとも90パーセント通過するような粒子の細かい粉末なら効果が大きくなることがわかった。 これは滑石粉(タルカム・パウダー)よりも小さい粒子である。
軟骨をこのような実用に供せる製品にするまでに、私は何年もの月日と努力、資金を投入した。 そして私が最後に研究者に提供した軟骨の粉末は、研究者が研究や実験のために入手できる限りで最善のものとなった。
同じようなやり方で、多くの医学上の大きな新業績は達成されてきた。 つまり、彼らが信じる何かを達成するために、独立独歩の研究者は、公的な研究資金の援助を受けることもなしに革命的な業績をあげてきたのだ。
私は、自分の信ずる目標を達成するためにさらに進んだ。 何年にもわたったドアたたき、ネットワークづくりや説得の結果、ついに何人かの通常の医学畑の研究者や治療家も鮫の軟骨に関心を持ち始めた。


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